恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
「振り回してなんか……」
「じゃあ、本当の気持ち、教えてください」
ばっと顔を上げた葵ちゃんが興奮気味に目を充血させながら聞いてきた。
「陽妃さんは、海斗のこと、どう思っとるんですか」
単刀直入な問いに、戸惑った。
「どうって」
「軽い気持ちで一緒におるんやったらやめてください! 遊びで毎日一緒におるんやったら、やめてください!」
お願いさ、そう言ったあと、葵ちゃんはうなだれるようにうつむいてしまった。
うつむいたまま葵ちゃんが言ったことに、あたしはどうすることもできずに立ち尽くした。
「こん島にはたくさん、おじいとおばあがおります。小さい子供もおります。やしが、医者がおらん。島のみんなが元気で長生きできるように、力になりたいって。それが海斗の夢なんだしさ」
必死に訴えるように言う葵ちゃんが、嫌がらせでそんなことを言っているとは思えなかった。
「海斗は医者になるのが夢なわけさ。やさから、誰よりも努力して来たんよ。那覇のA高に行って良い大学の医学部で勉強して。いつか与那星に。大きくなくてゆたさんからさ、小さくてもゆたさんからさ。診療所を建ちょるんが、海斗とわんの夢なんだしよ」
必死なことはその声から痛い程に伝わって来た。
「……」
だから、返す言葉がなかった。
「陽妃さんが来てから、海斗や変わってしまったさ」
弾かれたように勢い良く顔を上げた葵ちゃんが、顔を真っ赤にして言った。
「わんや……海斗が好きやさ。陽妃さんよりちゃーちゃー(ずっとずっと)想って来ちゃん!」
その真剣な瞳から目を反らすことができなかった。
硬直してしまった。
「小さい時からちゃーちゃー、海斗だけを想って来たんやっさーから! 陽妃さんよりちゃーちゃー前からさ! なのにさ……何でか!」
わんの方が先に好きになったのに、と大きな声を出しながら、葵ちゃんがあたしを睨む。
「渡さねーらんしよ! 絶対さ! 陽妃さんに海斗や渡さねーらんからね!」
海斗の夢、壊さないでよね!
わあっと吐き出して、葵ちゃんは玄関を飛び出して行ってしまった。
「じゃあ、本当の気持ち、教えてください」
ばっと顔を上げた葵ちゃんが興奮気味に目を充血させながら聞いてきた。
「陽妃さんは、海斗のこと、どう思っとるんですか」
単刀直入な問いに、戸惑った。
「どうって」
「軽い気持ちで一緒におるんやったらやめてください! 遊びで毎日一緒におるんやったら、やめてください!」
お願いさ、そう言ったあと、葵ちゃんはうなだれるようにうつむいてしまった。
うつむいたまま葵ちゃんが言ったことに、あたしはどうすることもできずに立ち尽くした。
「こん島にはたくさん、おじいとおばあがおります。小さい子供もおります。やしが、医者がおらん。島のみんなが元気で長生きできるように、力になりたいって。それが海斗の夢なんだしさ」
必死に訴えるように言う葵ちゃんが、嫌がらせでそんなことを言っているとは思えなかった。
「海斗は医者になるのが夢なわけさ。やさから、誰よりも努力して来たんよ。那覇のA高に行って良い大学の医学部で勉強して。いつか与那星に。大きくなくてゆたさんからさ、小さくてもゆたさんからさ。診療所を建ちょるんが、海斗とわんの夢なんだしよ」
必死なことはその声から痛い程に伝わって来た。
「……」
だから、返す言葉がなかった。
「陽妃さんが来てから、海斗や変わってしまったさ」
弾かれたように勢い良く顔を上げた葵ちゃんが、顔を真っ赤にして言った。
「わんや……海斗が好きやさ。陽妃さんよりちゃーちゃー(ずっとずっと)想って来ちゃん!」
その真剣な瞳から目を反らすことができなかった。
硬直してしまった。
「小さい時からちゃーちゃー、海斗だけを想って来たんやっさーから! 陽妃さんよりちゃーちゃー前からさ! なのにさ……何でか!」
わんの方が先に好きになったのに、と大きな声を出しながら、葵ちゃんがあたしを睨む。
「渡さねーらんしよ! 絶対さ! 陽妃さんに海斗や渡さねーらんからね!」
海斗の夢、壊さないでよね!
わあっと吐き出して、葵ちゃんは玄関を飛び出して行ってしまった。