幻想館-赤ずきん編-
赤ずきん編
「いやぁっ!!」


その叫び声は、近所の家々まで響いた。


何事かと声が聞こえた家の前に、いつの間にか人だかりができていた。


隣の主人が、恐る恐るドアを開ける。


・・・・・・玄関からゆっくりとリビングに入った主人は、息を呑んだ。



しばらくの間、声も出ない。



表にいた人たちは、主人がなかなか出てこないので、しびれをきらしたのか何人かが入って行った。



リビングのドアの前で突っ立っている主人を押して、中を見た人たちは急に大声を出した。



周りのわめく声に、主人も我に返り、

「警察に電話してくれ!!」

そう叫んだ。






しばらくすると、数名の警察官と救急車が来た。


野次馬は適当に追い払われたが、第一発見者の隣の主人は、警察に事情を尋ねられていた。



「しかし、ひどいな
血が飛び散ってるよ」


そう部屋の中は、この家の父親と母親が血まみれで倒れていた。


既に息はなかった。



その脇のソファーの上で少女が倒れている。


真っ白なワンピースが真っ赤な血で染まっていた。



彼女は多少の切り傷はあるものの死んではいない。



しかし、気を失ったまま救急車で病院に運ばれた。


凶器の包丁は、その後の鑑定で三人の指紋が残されていた。
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