幻想館-赤ずきん編-
次第にこみ上げる怒り。



私の体は震える。


小さい頃から

耐えてきた虐待。



言葉を失うほどの罵声。


私は・・・・・・


私は、やがて無気力になる。



私ったら、何を言ってるの?


私のお母さんに限って、そんな事・・・


そんな事、あるはずないわ!


私のお母さんは、とても優しくて・・・・・・

優しい?


頭の中が混乱してくる。

そうよ、これは赤ずきんの話で、私には当てはまらない。


うっ!


体中に電気が走った

さっきとは違う痛み

・・・た、たすけて!・・・


私は館長さんの方を見た。



赤く光る瞳。


私をじっと見つめている。


どうして助けてくれないの?


いや、そんな目で見つめないで!!



「いやあっっ!!!」




それから・・・


どれくらいの時間が経ったのだろうか?



私は館長さんにもたれかかっていた。



「気がつかれましたか?」


「私、どうしたんでしょうか?」


「急に叫び声をあげて、気を失ったようですね」


館長さんは冷静に答える。


「ここに来た時は、心地よさを感じていたのに、だんだんそんな気分じゃなくなって・・・・・・」


私の言葉に館長さんは、頷いた。

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