幻想館-赤ずきん編-
<森の中>


赤ずきんは、病気のお婆さんの所へ、お見舞いに行く事になりました。



赤ずきんの母親は、テーブルの上に伝言を残して出掛けてしまいました。



母の伝言


赤ずきんへ

お婆さんの様子を見に行ってきて


伝言はたったそれだけ・・・



お母さんは、やっぱり、お婆さんが苦手なのね。


赤ずきんは、そんなふうに思いました。


小さなカゴには、真っ赤なリンゴ。


お婆さんの家に向かう途中、どこからか声がします。


「赤ずきんちゃん、あそこにきれいなお花が咲いているよ」



言われた方へ振り向くと・・・


そこは素敵なお花畑が広がっていました


「可愛いお花を、お婆さんに摘んで行ってあげましょう」


心優しい赤ずきんは大好きなお婆さんの為に、花を摘み始めました。

小鳥たちもさえずり今日は何て素晴らしい日なんだろう・・・


赤ずきんは、そう思いました。


しばらく花摘みをしていましたが、カゴの中がいっぱいになったので、また赤ずきんは歩き始めました


穏やかな陽の光。


草花を揺らす爽やかな風。


赤ずきんは時々、お母さんが出掛けて行く後ろ姿を見つめています。

実は今日もこっそりその後ろ姿を見ていたのです。
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