幻想館-赤ずきん編-
< お婆さんの家>



家の前に着くと、赤ずきんは「トントン」と戸を叩いた。


「誰だい?」


「お婆さん、赤ずきんよ」


赤ずきんは大きな声で言いました。


「入っておいで」


その返事を聞いて、赤ずきんは、ゆっくり戸を開けた。


中に入った赤ずきんは、少し首をかしげた。


お婆さんは病気で寝ているのに、部屋は今まで誰も居なかったように、ヒンヤリしていた。



暖炉の火が弱いせいだろうか?


「お婆さん、お見舞いに来たのよ」



そう言うと暖炉の側に行き、薪をくべた。


それから、摘んだ花束を花瓶に生けました。


「きれいなお花でしょう・・・お部屋に飾ると気分が変わるでしょう」


「ありがとう、赤ずきん」



赤ずきんはベッドで寝ているお婆さんの側へ寄って来た。



「お婆さん、少し声が変ね」


「ゴホッ、ゴホッ、それは風邪のせいだよ」


「そうだわ! お母さんがリンゴを持っていきなさいって
お婆さんは、リンゴが大好きだったわね」

赤ずきんはリンゴを一つ取り出すと、ナイフで皮をむきはじめた。


丁寧に皮をむきおえると、お皿にのせて差し出した。


「お婆さん、どうぞ」



「今は・・・食べたくない


「どうして食べたくないの?」



「風邪をひいて、喉に通らないんだよ」


そう言われて、赤ずきんはリンゴをすりはじめた。


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