幻想館-赤ずきん編-
少女は父親に、憎しみの感情を抱いた。


「どうしたんだ?!」


後ずさりする。



「お母さんは・・・寂しかったのよ・・・
仕事しか頭にないお父さんとお話ししたかったのに・・・」



「それは・・・」



「お母さんが、かわいそう・・・・・・。
ひとりぼっちで泣いていたわ!



「それは、お母さんが・・・」



父親はショックを隠し切れなかった。



愛していた娘に


憎しみの感情を


抱かせてしまった。



時が全てを変えてしまった。



「お父さんにも罰を与えてあげる!」



次第に近付いて来る


「お父さん、お母さんに謝って!」



「やめろ!
やめるんだッ!!」



後ずさりする。



もう、後がない!



グサッ



「∑!!おま・・・え・・・のため・・・に・・・」


息も絶え絶えの父親


「ありがとう罪を、償ってくれて・・・・」




・・・・・・バサッ



父親は倒れた。



しばらくの間、


沈黙が続いた。




時計の音が、

急に少女の耳に入ってきた。



ハッとして


我に返る。



おびただしい血の痕
少女のワンピースは真っ赤に染まる。


綺麗な赤。


右手で持っていた包丁が、ポロリと落ちた。

ガラスに映る

真っ赤な衣装



赤ずきん・・・?


「イヤぁぁぁぁ!!!」


響いた少女の絶叫。



ソファーに横たわった彼女を真っ赤な夕日が照らしていた・・・・・。
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