幻想館-赤ずきん編-
「まだ、お孫さんは意識が戻りませんか?」


「もう、2日になります」


祖母の声が聞こえた

「彼女だけが唯一の生存者だが、昏睡状態が続いていては、状況が掴めません」



「孫は被害者です!」


祖母の声が響きわたった。



「しかし、最後に父親が亡くなったのは、彼女が刺したとしか考えられないんですよ」



えっ!?


刺した?


私が?



「鑑識の結果、彼女の手や服には、父親の血痕が付いていました」


「あの子が・・・父親を殺すなんて・・・う・・・ううっ・・・」


祖母の泣き声。



その内、会話が途切れた。



遠のく足音。



私は体中が震え始めた。

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