幻想館-赤ずきん編-
8ミリフィルムの上映会が始まった。



古ぼけたセピア色の映像。



赤ずきん・・・・・・?


誰もが知っている童話だ。



森の中の赤ずきんの家。


・・・・・・何となく、この家の間取りに見覚えがある。


ううん・・・まさかね・・・・・・


また意識が遠のいていく。



赤ずきんは、しょんぼりしていた。


テーブルの上には、小さなパンとスープが置かれていた。


「今日もお母さんは、家に帰ってこないんだわ」


赤ずきんの目から、一滴の涙が頬を伝って落ちた。


これって私・・・?


赤ずきんのお母さんは、いつも知らない男性と一緒でした。


時々、家に戻って来ますが、それは男性と別れた時でした。


ナレーションは淡々と語られ物語は進んでいく。



冷めきったスープ

ひと部屋だけついている灯り


赤ずきんは、窓の外を眺めた。


お母さんは、もうご飯を食べたのかな・・・・・・?


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