幻想館-赤ずきん編-
一夜が明けました。


やはり、お母さんは帰って来ません。


赤ずきんは外へ出て井戸へ水を汲みに行きました。


朝の光は、赤ずきんを勇気づけてくれる

緑の木々は、いつも安らぎを与えてくれる。


赤ずきんは、笑顔を見せる。


・・・何だか、この赤ずきんの話って変だわ・・・・・


赤ずきんは優しいお母さんと幸せに暮らしていたんじゃなかったの?



童話って、本当は悲しい物語なのかな?


私の中で何かが割れたような気がしました。


赤ずきんはどうして笑顔のままでいられるの?


あなたのお母さんは自分の事しか考えてないのよ。


赤ずきんにそう問いかけている自分。


そういえば・・・・・・!


「どうかしましたか?」

館長さんは優しく、声をかけてくれました。


「いえ、何でもありません」


そう答える私に、館長さんのしなやかな指先が右手に触れた

その時、館長さんの青い瞳が、赤く変わった。


「その手は、どうされたのですか?」


館長さんの言葉に、私はハッとした。


いつの間に・・・・・・!?
私の右手、いや左手も腕の方も、無数の切り傷があった。


・・・何なの?

こんなにたくさんの傷があるのに、痛みを感じない・・・


「少し疲れましたか?」

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