幻想館-赤ずきん編-
私・・・少し疲れてるのかな?


館長さんは銀色の髪をかきあげた。


耳たぶに真っ赤なピアス!


そう血のように真っ赤なピアス・・・


「焦ることはありませんよ」


どういう意味・・・?

私は館長さんの顔を見た。

「いいえ、特に深い意味はありません。
気になさらないで下さい」


フィルムの画像は、赤ずきんのお婆さんが映っている場面で静止している。



「ごめんなさい。続けて下さい」



傷の方も気にはなったが、やはり先の展開も気になる。



館長さんは椅子に腰掛けると、フィルムを回し始めた。


ここへ来てから、どのくらいの時間が経ったのだろうか?


ひとつ、わかった事

この暗い空間に時を刻む物がない事。


私は大きく深呼吸した。


そして、椅子の背もたれに寄りかかった
またスッーと、体が空間に吸い込まれていくような錯覚になる。



8ミリフィルムが回りだした。



赤ずきんのお婆さんが、訪ねて来た。


・・・お婆さんて病気の筈じゃないの?


・・・そんな事は、どうでもいいか・・・・・・。

赤ずきんさえ良ければ・・・。


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