幻想館-赤ずきん編-
お婆さんは赤ずきんを、しっかりと抱きしめた。


「元気そうで良かったわ」


お婆さんの優しい声は、赤ずきんの心に響きます。



・・・お婆さんかぁ・・・
私にもお婆ちゃんがいたっけ・・・


まただ!


空間が歪み、めまいがした。



・・・・・・私が何かを感じる度に、歪む空間。
歪み・・・


歪み・・・


暗闇の空間・・・


不思議な物語・・・



「館長さん、ここはいったい何処なんですか!!」


立ち上がった私に、館長さんはスッーと近づいて来た。

「急にどうしたのですか?
落ち着いて下さい」


そう言うと、背後から・・・


しなやかな指先が伸びてきて、ふいに抱きしめられた。

いつの間まに・・・?


耳元で囁く


・・・安心して、私が見守っていますから・・・・・・・


銀色の髪が揺れる。


そう、それは不思議な暗示。


私の鼓動は、一定の波に戻った。



もう 大丈夫・・・

今は・・・



私はまた物語を見始めた。



赤ずきんは、お婆さんが持ってきてくれた手作りのおやつを食べている。


とても幸せそうな表情をしている。



優しいお婆さん。


でも時々、うつむいてしまうのは、何故なのかしら?



赤ずきんは、首をかしげる。
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