幻想館-赤ずきん編-
お婆さんは、問いかけた。


「お母さんがいなくて寂しいかい?」



赤ずきんは答えます


「寂しいけど、また戻って来てくれるからお母さんの写真を見て待ってるの」


「お母さんを憎まないのかい?」


また、問いかける。


赤ずきんは、しばらく考えてから


「ううん・・・ちゃんと顔を見せてくれるから、どんなに打たれても、お母さんが好きだから・・・」


お婆さんは、ため息をもらした。


「本当にお前は、優しい子だねぇ」


赤ずきんは、知っていた。


お父さんがお母さんと喧嘩して、家を出て行ってから、お婆さんとの仲が悪くなってしまった事。


お父さんは、あれから帰って来ない。

それから・・・


お婆さんとの楽しいひとときは過ぎて行った。


森の夜は早い。


「じゃあ、戸締まりをちゃんとするんだよ」


お婆さんは帰って行きました。


また一人になってしまった。



赤ずきんは、夕食の支度を始めた。


夕食・・・・・・!


私の夕食は、いつもパンかインスタント食品。


高校生になっても、お料理は苦手・・・


温かい手料理は、幾つまで食べていたのかな・・・・・・?



ふと、涙がこぼれ落ちた。

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