隣の人形

第１話

　影が薄い、よくそう言われる。
小さい頃から影が薄く、かくれんぼをすれば近くに居ても見つけてもらえない。
最初はいじめかと思ったが、どうやら本当に影が薄いだけらしい。

最近ますます影が薄いのか、誰からも話かけられなかったりする。
みよ字も影無である。唯一の親友は、寺が実家の寺崎である。

寺崎の家は御寺だけあって、寺崎はよく幽霊だのを見るらしい。
だからか知らないが、物おじしない性格のやつである。
俺には寺崎以外、友達はいない。
寺崎とは小学校からの付き合いである。
オレンジかかった髪をポニーテールにしている寺崎は、
ぱっと見女の子にも見えなくはない。
どうやらそれは、宗教的な理由らしい(どんな理由かは知らないが)、
ただの客受けがいいからじゃねーのか、と俺は思っている。

この町は、大きく２区に地域が別れている
。
新区と旧区である。

新区にはビルは沢山建っており、ハイテクノロジーがはこびっている。
テクノ区とも呼ばれている。最先端医療や、最先端技術が終結しており、
なんでも手に入るといわれている。
テクノ区では２つの家が力をもっている。

テクノ区の技術はほぼ時間(ときま)財閥という財閥が管理しており、時間病院や時間コーポレーションがあったりする。メインは医療系統らしいが、多岐にわたっているのは確かである。
そして、空埜間家は教育に力を入れている。
空埜間学園を設立しており、孤児院なども経営している。


一方旧区は、新区と全く正反対の場所である。農園があり野菜畑があり、見わたす限り緑、緑、緑、である。
こちらではに３つの家が力を持っており、縦路(たてじ)、横道崎(よこみちざき)、高ケ瀬(たかけせ)である。
それぞれ、農業、産業、漁業の有名な家らしい。
旧区にはオトガミ教という宗教や(テクノ区では新興宗教といわれ嫌われているが)、
寺崎の実家もある。


旧区には旧区のいい所があるし、新区には新区のよい所がある。