隣の人形



そして、
こんなことができる人間を俺は一人しか知らない。


霊のために真剣になったり出来る人間。





「影無君」
「うん?」
「ある建物には、あそこで死んだカップルが成仏出来ずに居たんだ。

あそこは二人で頑張って貯めたお金で買った家。
離れられない。

神社はおみよという少女が、今でも茂吉という少年を待っている。

古い木は、マナという少女が始めてある男性に一目惚れした場所。マナはその後病気で死んだ。
古い木の側に留まれて幸せだと言っていた。切られれば自分が行く所がなくなると」


「…そうか」

「人間の住家を壊すのは罪なのに、霊の住家を壊すのは許されるなんておかしい」
< 102 / 211 >

この作品をシェア

pagetop