隣の人形
私は、机の上のリボンを手にとる。
私には感情がないはずなのに、これを見ていると。
なんだろう。
「あ、ここにいた」
少年が部屋に入ってくる。
博士と呼ばれている人だ。
「ちょっとね、君のお母さんがヒステリーになったんだよ。ここにはいられないから。でかける準備をしてよ」
ヒステリー?
とはなんだろう。
私は準備をした。
車の中、博士は話す。
「うーんとね。多分緑が多い所がいいだろうと思って、古典中学ってとこの近くに君の住む家があるよ。
テクノ地区より旧地区の方が何より人との関わりがあるし、
君、学習能力はボクより凄いから。
もしかしたら感情も学べると思うよ。
ごめんね?
こんな形でしか解放できなくて。
後は自由だよ」