隣の人形

彼は私を見る。
「あるめりあ…ちゃん」
私は、あるめりあ?
あるめりあとは誰?

「人形に、なんて…」
「どうして泣いているのですか?」
「あるめりあちゃん」


私には彼の涙のわけが分からなかった。

ひとしきり泣いた後、
彼は、

私を抱きしめた。

どうして抱きしめたか分からない。


だけども不思議と心地が良かった。
私は学習した気がする。

これが、暖かいという感情だと―。


【おわり】
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