隣の人形
少し、涙目っぽかった。
しかたないから、ジュースで機嫌を直してもらうことにした。

「あ、美味しいわね」
コワゴワと、ジュースに口をつける転校生。
ちなみに、プルトップも俺があけてやった。
「飲んだことないのか?」
「馬鹿にしないでよ」


まあ、ジュースなんて飲む必要なかったんだろうな。

「人間は、こんなものを飲まないといけないのね。難儀なものだわ」

こいつ今、自分が人間じゃないこと認めたぞ。
「あ、ちが、ちがくて、いつもは水を飲んでたのよ!」
ふう。と、一息つき。転校生は俺に問いかける。

「ねえ」
「何だ」
「もしもの話よ?」
「ん?」
「あ、もしもの話よ!
人形はどうすれば、人間になれるかしら」
「そんなオカルトありえないだろ」
「と、友達の話よ。」
「お前友達に人形がいんの!?」
「う、うるさいわね。友好関係が広いのよ」


それは、友好関係うんぬんの問題ではない気がする。




「その友達は・・」
「・・・」
「どうして、自分が人間になったか、分からないらしいわ。
何の目的で、自分が人間になってしまったか、分からないのよ」
「オカルトだな。ファンタジーというか」
「そうね。ま、に、人形が人間になるなんて、ありえないわ!」

なるほど。こいつは、自分が何故人間になったか、知らないらしいな。









< 14 / 211 >

この作品をシェア

pagetop