隣の人形

「うわぁ緑ですよ」
「赤かったら怖いな」
「あ、そっか。僕が居たドッペル世界では世界は反転してるんですよ」
ドッペル世界ってなんだよ。
知らなかった。ドッペル世界なんてあったのか、
というかこいつドッペルゲンガーなんだよな。

反転ということは、
考えていると黄色崎が続きを話す、

「鏡の世界みたいなものです」
「鏡の世界だったら色は正常じゃないか?」
「あ、いえ、色がついてないんです」
そんな世界があったのか。

モノクロの世界。
こいつはそこに居たのか。

ガタゴトと電車は揺れている。
黄色崎は、今日は女装をしている。自分が寺崎だとバレたら厄介になるとのことらしく、
眼鏡をかけ、二つ結びにして、白いワンピースを着ていた。
肌の色が悪いので病人?にみえるが、
元元色のない世界の住人なら、色は気にしないのかも知れない。

「ドッペルゲンガーというのは、出会った相手を殺さなければならないんです」
「有名な話しだ。自分そっくりの自分。出会ったら死ぬってやつだな?」
黄色崎は、りんごじゅーすを一口飲んだ。
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