隣の人形

寺崎は目をパチクリとし、俺に言った。
「俺が、悩んでると思った?」
「ああ」
「いや、悩んでない」
寺崎は首をふった。
「悩んでるだろ」
「…」

俺は言う。
「寺崎(黄色崎)がこっちにいるんだ、お前の気持ちは…」

「いや、違うよ」
寺崎は即答した。

本から目を離さなかった。
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