隣の人形
俺は暑いと思ったが、
こいつは、暑くないらしい。
汗ひとつかいていない。


「そういえば、友達のラブドールちゃんがが言ってたんだけど」
「ラブドールまで友達なのか!?」
末恐ろしい。
よかった。ラブドールとか購入してなくて。
「ラブドールを購入した人がイケメンの時は、ラブドールちゃんもサービスするらしいわよ」
「まじでか!?」
サービスって、なんぞ…。
「でも、多くはブサメンらしいわよ」
「ブサメンとかいうな!頑張った!みんな頑張ったんだ!」
「中には、ラブドールちゃんに黴を生やす最悪なやつもいて…。カピカピにしたり」
「やめろ!トラウマを植え付けるな!!」

「でも中には」
「ん?」
「本当に人間を好きになってしまった子もいるのよ」
「ずっと、その人の道具になりたいって、その子は願ったのよ。
だってラブドールだもの、道具としてしか、愛されないの分かってたのよ」
「ああ」
なんだか、切ないな。

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