隣の人形
そして、目を離したら寺崎は、

「精神がたるんでおります」と、
着物を着た。女に斬られかけていた。

凛とした声、綺麗な黒髪。刀、着物。

殺す気満々な剣技を、
寺崎は見事にかわしていた。


ふと、外の竹林に目を向ける。
寺崎の家の裏には竹林がある。

あれはー。





「おい」
「・・・」
そこには、転校生が居た。
何故居たかは知らない。
「ああ、あんた?」
「何やってるんだ」
「・・・」
いつもは、饒舌な転校生は喋らない。
お面のみが、こちらを向いている。

「竹を見てたのよ」
「竹をか?」
「伸びるじゃない」
「そらそうだろ」
「どんなものか知らなかったからよ」
「竹がか」
「ううん。成長すると、いうことがよ」

俺はこの先、歳をとり、成長する。
大学に行き、社会人になる。

だけど、こいつは-。










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