隣の人形
「…ああ、うん」
「どちらにも感情があるから消えたくない」
と、オレンジ崎。
「どちらかが消えるなんて、嫌じゃないですか。自分なのに」
と、黄色崎。
それで大丈夫なのだろうか…。
「人間なんて実際、アイデンティティーが不確かだから、自分どんなものか、イマイチ分からないんだ」
と、これはオレンジ崎。
一様、黄色崎は、敬語を使ってくれていた。
「…そうね」
「私はあなたです。そして、あなたは私です。
と言われたら、ああ、確かにそうかも知れない。ってなるだろ?」
と、オレンジ崎。
「…ああ、うん。」
「どちらかを消す必要なんてないんだ。両方俺だから」
と、これもオレンジ崎。
よく分からないが、そういうことらしかった。
本当によく分からない。
何が起きてるのかも分からない。
でもとりあえず、寺崎は、二人になってしまったらしい。
周りには、
自分によく似た王族(これはこれで意味が分からない)ということにしてあるらしい。