隣の人形
プールに浮かんでいる虫の死骸や、枯れ葉、
そして消毒液の匂い。
日焼けした子供の姿が眩しい。
「黄色崎は寺崎であって寺崎ではない。」
黄色崎は、
寺崎の人形みたいなものだろうか。
はは、ここでも人形だな。
俺の前にはフランス人形が現れて。
寺崎の前には寺崎の人形、そして姉は、人形にされていた。
「影無さん僕は」
「本当は一体誰なんでしょうか?」
「黄色崎?」
「いえ、すみません。僕は、寺崎なんです。でも、いえ、帰りますね」
黄色崎が去った後、
「あ!何やってるのよ!」
声をかけてきたのは、転校生であった。
手にはコンビニの袋がある。
相変わらずいつもの制服である。汗ひとつ書いてないのは、さすが人形である。
「何って…」
「死んでるのかと思ったわ!」