隣の人形

「ねえっ!」
眼が見ていた。
人形の眼。
気持ち悪い。見るな。見るな。見るなな見る見るな。

姉は、
俺を怨んででいるだろう。
そうだ、サーカスの火事。あれは、姉が。



姉さん姉さん姉さん。


愛しい姉さん。
誰よりも気高くて、誰よりも美しく、誰より完璧な姉様。
姉様は完璧なのだから。
姉様は怖がっていた。
完璧な姉様、完璧な。
怖がるなら、怖いものを―。

「大丈夫なの!」
はっと我にかえる。
「―」
冷たいジュースが額にのっかかっていた。
倒れていたらしい。
「―すまない」
「びっくりしたわよ!急に、ぼーっして動かなくなるんだもの!保健室に…」
「いや、いいよ」
俺は体を起こし歩く。
「でも」
「いいから」

転校生の目は俺を見ていた。サングラスをとっていた。あまりに動揺しているせいか、サングラスをかけてないことに気づいてないんだろう。
気持ち悪い。
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