隣の人形
俺は寺崎に返事をした。
「どうした寺崎?」
寺崎は相変わらず無表情だ。
「今日、サークルがある」
そうだ。今日はサークルの日だった。
「ああ、知ってるよ」
「最近、建月さんを見ない」「風邪だろうかか?」
もしかしたら、今は引きこもりキャラなのかも知れない。
「分からない。良かったら気にかけてやって欲しいんだ」
「お前が気にかけろよ」
「色々とあるんだ」
そういって寺崎は、手をふり帰っていった。
最近忙しいのだろうか。
寺崎も用事があるらしく、
結局、サークルは休みになったらしい。
さっきあるとか言ってたのに…。
「奥さん。桐倒社長の息子って病院に行ったらしいのよ」
「あらあ、
あそこの社長、旧区の木倒したりバンバン崩して、塾だの会社立てるとか言ってたものね。バチよねぇ」
帰る途中に井戸端会議をしている主婦にあった。
今ではこんな風景は、旧区でしか見られない。