隣の人形
「んで、あるるりあちゃんは」

「あるめりあだ」

言いにくい。
「なんで古典中に行きたいんだ?」



顔を背けるめりあちゃん。手には、プレゼントらしきつつがみが。
…ああ、なんとなく分かった。

「誰かに渡すのか?」
コクンと首をふるめりあちゃん。


「誕生日を祝うため」
どうやら今日が誕生日らしい、
好きな相手への誕生日プレゼントを渡したくて、
わざわざ監視のきついテクノ寮から外出をしたらしい。

「大丈夫なのか?」
と聞いたら、
コンピュータにハッキングをかけデータを改ざんし、監視カメラの映像を変えたらしい。
最近の中学生は恐ろしいものである。

「だが母にバレれば私は罰せられるであろう」
「コンピュータのこと?」
「いや、コンピュータのことではない、コンピュータのことなら母は喜ぶ。
娘にこんな技術があるということをそれではなく、」
彼女は下を向いた。
包み紙は可愛らしいピンク色。
星のシールがはってある。
プレゼントをギュッと握りしめ彼女は言う
「私がどこの誰やも分からん男性に、プレゼントを渡したことがバレたらだ」
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