隣の人形

「ふふ、僕が作ったんだ」

どうやらお手製らしい。
俺が言うときもいとブーイングであろう。
彼が言うとこうも様になるのはなんでであろうか。


好きな彼の前だとあうあうなる
めりあちゃん。
年相応な場面を見れた気がする。


「美味しい?あるめりあちゃん」
「あ、あうう、…はい。」

もはや、あうあうとでしか会話をしていない。
「良かった。
あるめりあちゃんのために焼いたんだ。
あんまりサプリメントづけはよくないよ?
自然の食べ物こそが最高の健康食品だよ」
「あ…う」

「これはほし椎茸のケーキ食べてみて?」
「え…と」

まごまごしているめりあちゃん。
ほし椎茸が嫌いなのかもしれない。
「好き嫌いはよくないよ。いい?あるめりあちゃん。ほし椎茸は太陽の光を浴びて作ったんだ。太陽の光に感謝しなきゃいけないよ?人間と太陽は一緒に生きてるんだ」
よく分からない理論だが
なんだか彼なら許される気がする。
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