隣の人形
必死でツッコミを入れなければならない位、怖い。



人形。
人形。
にんぎょう。
人形自体ではない、目が怖い。


「ねえ」
まずい話かけてきた!
逃げることにした。

サササッ。



「だが周りこまれてしまった」
意外に素早い動きで、周りこまれた。
「待ちなさいよ」

なんで、そんなツン口調なんだ。しかも、ツリ目だし。
『あんたのために人間になったんじゃ、ないんだからね』
とか、言いだしそうである。


怖い。
呪われてしまう。
何かを口にしようとしている。
怖い。
怖い。


「やめ、やめろおおおおおおお!」
その、ガラスのような目が怖い。


びくっと、驚く人形。
やめてくれ、その無表情で、



俺の前に・・・。

無理だ。
作りものめいた顔も、
綺麗すぎる手も、全て。


人形、人形だけは、無理だ。
本当に怖い。目を向けるな。


無数に並ぶ人形、
見つからない-。
目玉。


ああ、だめだ




「わ、わたし・・・」

意識が薄れた。





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