あなたは先生。あたしは生徒。
【花】



あたし達は今初日の出を見るために海に向かって歩いてる。



さっきの人、絶対まだ大和が好きだ。



あの目は…。



優しそうに大和を見る目。



別れ際の悲しそうな目。



でも大和は気にするなって言ってくれたし…



もう会うこともなさそう。



大和ってあんな人と付き合ってたんだ…



「花、もうすぐだぞ!!」

「う、うん!!」



あたしはムリに笑顔を作り、朝日が見える場所まで歩いた。



「この辺にするか。」



大和が堤防の上に座る。



あたしもその隣に座る。



「花、寒くない?」

「寒い!!」

「こっちおいで。」


あたしは大和の足の間に座らされた。



「こうしてたら寒くない。」



大和が着ているダウンで後ろからそっと包まれる。



大和のダウンからは学校では付けていない、休みの日限定の香水の匂いがした。




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