強・憑いていますか?

 ここ何日間かまともに太陽を見ていない気がする。
 鉛色の厚い雲が、ここから動くものかとどっしりと空中に居座っているせいだ。
 7月に入り、そろそろ梅雨前線もなくなってくれても良いと思うのに、まだまだこの座は明渡すものかと頑張っている。
 ━私は、イライラしてた。
 この頑張りすぎている梅雨前線にも、もちろんイラっとしているが、一番のイライラの原因は…。
 席替えをし、私の左斜め前になった杉崎孔の言動だ!
 
 『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』とは昔々の美人の例えだが、どうやら私はそういう風に見えるらしい。
 いわゆる、日本美人というやつだ。
 日本美人と言っても浮世絵等を思い浮かべてもらっては困る。
 私はうりざね顔でも、一重の細い目でもない。
 博多人形のように色白できめ細かい肌。
 目はパッチリ二重で、黒目がち。
 まっすぐ、つややかな黒髪。
 「黙っていれば、楚々として、日本人形のように綺麗なお嬢様に見える…のに…。」
 と、友達皆に残念がられている。
 …のに…って何さ。

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