泣き顔にサヨナラのキス


「……孝太、ちょっと待って」


あたしの首筋に舌を這わしていた孝太の動きが止まった。


「な、に?」


「こんな時にあれだけど、お弁当……作ってもらったの?」


「あぁ、あれ……、作ってもらったと言うか。
ねぇ、カナ。それって今話さないとダメ?」


「えっ、うん。出来れば」


暗がりの中、孝太を見上げると、やれやれとでも言いたげに、小さくため息を落とすのが見えた。




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