泣き顔にサヨナラのキス
 


「カナ」


名前を呼ばれてハッと我に返る。


「んっ?」


顔を上げると同時にキスを落とされて、孝太に抱きしめられる。


「び、びっくりした」


「カナはさ、俺と一緒に居ても、時々どこか違うとこいっちゃうよね」


孝太は少し恨めしそうにあたしを見た。


「そんなことない」


あたしは孝太の事ばかり考えているのに。


言葉にして、なかなか伝えられないけど。


だから、曖昧に笑って誤魔化した。



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