泣き顔にサヨナラのキス
    

「カナ」


孝太は名前を呼ぶと、あたしを引き寄せた。


優しい腕の力に、体温が一気に上昇していく。


そして孝太は、あたしの両頬を挟み込むように撫でた後、外側に向けて引っ張った。


「この口で、二度と他の男の名前を呼ぶな」


「いらいっば、やめっ」


「わかった?」


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