泣き顔にサヨナラのキス

 
6時半過ぎには、参加メンバーの殆どは例の居酒屋へと向かって出ていった。


山本さんも伊藤課長たちと「先に行っています」と事務所を後にした。


仕事をしているのは、このフロアではあたしを含め、三人だけだった。


週末は余程のことが無い限り、みんな早めに仕事を切り上げるのが通例で。


あたしは理由を付けて孝太を待っているけれど……


もうすぐ、7時なのに孝太からの連絡はなかった。


参ったな。あたし、場所把握してないんだけど。


もう一度、孝太に電話を掛けても繋がることは無くて。

小さくため息を吐いて席を立った。




< 162 / 614 >

この作品をシェア

pagetop