泣き顔にサヨナラのキス
 

 
あたしだけじゃなくて、原口係長の向いに座っている秘書課の田村さんも驚いた顔をしている。


「なんですか、急に」


「いや、だって野上、お前クククッ……」


笑い続ける原口係長を無視して、芋焼酎の水割りに口をつけた。


あたしたちのテーブルには、伊藤課長と原口係長そして田村さんとあたし。


田村さんは原口係長に気があるのだろう。


必死に話しかけているのに、原口係長ときたら、のらりくらりとかわして皆と呑むのを楽しんでいる。


自分が色んな人を誘ったくせに、何やっているんだか。


奥のテーブルでは女子会が始まっていた。


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