泣き顔にサヨナラのキス

 
席に戻る途中の通路で、壁に凭れて孝太が立っていた。


その姿を見付けて、心臓がドクンと大きく跳ねる。


「トイレ、長かったけど。気分悪い?」


「大丈夫。気持ち悪くなるほど呑んでないし」


なんだか、孝太が眩しくて直視できずに目を伏せる。


そのまま通り過ぎた時、孝太に手首を掴まれて引き戻された。


「あっ」


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