泣き顔にサヨナラのキス
 

 
お店に着くと、涼子さんが「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれた。


今夜も可憐な花が咲いたような涼子さん。その笑顔に、うっとりしてしまう。


「悪いな、急に」


「丁度、席が空いたから。さぁ、どうぞ。何か召し上がりますか?」


「いや、つまみを適当に。それとビール」


「はい」


伊藤課長を真ん中に三人でカウンターに座った。


ビールグラスを手に「原口くん、今日は幹事ご苦労だったね」と伊藤課長。


「お疲れです」


そう言うなり、あたしはビールをグイッと飲んで、喉を潤した。


こんな飲み方するから、ガサツだとか色気がないとか言われるんだろうな、あたしは。


なんて、自己分析をしてみたり。



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