泣き顔にサヨナラのキス
「取り合えず、俺寝たいんだけど。パジャマ貸してやるから、ホラ」
「あたしはソファーでいいです」
「ブランケット、余分にないんだよ。それに、ベッドはムダにデカイから安心しろ。って説得力ないか」
「…………」
「野上?」
「…………」
原口係長は何も言えないあたしの手を引いて、寝室へと入っていく。
クローゼットの中から、真新しいパジャマを取り出すと、何も言わずにあたしに手渡した。