泣き顔にサヨナラのキス


♪~♪~♪ 


突然、孝太の携帯が鳴り響いた。


携帯を取り出してディスプレイを見詰める孝太の表情が曇っていく。


「トラブルだろ、行けよ」


「すみません」そう言って立ち上がった孝太は、「後で電話する」と言い残して梶間食堂を出て行った。


その姿を見送って、原口係長はやれやれと言わんばかりに、盛大な伸びをして一仕事終えた気分だと頭を掻いた。


「あの、ありがとうございます。でも、どうして孝太が怒ってるって分かったんですか?」


何も話してないのに、すべてを察しているような口ぶりに、少なからずとも動揺してしまう。


それって……



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