泣き顔にサヨナラのキス
当たり前のように、部屋に入っていく孝太の背中を追いかけて「ご飯食べる?」と訊いてみても、孝太は「うーん」と気の無い返事を返すだけで。
余程疲れているのか、スーツの上着を脱いで黙り込んでしまった。
「何か飲む?」
「んー、コーヒー頂戴」そう言って孝太は、また無言になった。
お昼の事、まだ怒ってるのかな?
そんな不安が脳裏を過ぎる。
孝太の顔をチラリと盗み見ても、怒っているのか疲れているのかわからない。
いや、その両方なのかもしれないけど。