泣き顔にサヨナラのキス
君との距離
月曜の朝、最初に交わした言葉は「おはよう」で。
孝太の少し眠そうな顔も、ちょっと甘い声も、あまりにも普通すぎて、昨日の事が嘘みたいに想えた。
……夢?
そんなわけない。
現にあたしの膝は、転んだ時に出来た擦り傷が、今でもヒリヒリと痛んでいるんだし。
ついでに言えば、心だって多少なりともダメージが残っている。
それなのに、孝太ときたら、悪びれもしないで。
それだけでも、若干イラっとするのに。