泣き顔にサヨナラのキス


ああ、もう。 週報すら作ってない。


何もかも面倒臭くなって項垂れた。


「野上さん、何か手伝いましょうか?」


その声に驚いて顔を上げた。


「あ、うん。ありがとう、でも、もうすぐ定時だよ?」


どうした風の吹き回し? なんか、下心がありそうで怖いんですけど……。


「……見返りは期待してませんから」


見透かしたように、意地悪に笑う山本さん。





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