泣き顔にサヨナラのキス


事務所には、営業が数人残っているだけ。


それでも、一緒に会社を出るところを見られたくなくて

『外で話をするなら、現地で待ち合わせでもいいですか?』

と会社支給の携帯にメールを送った。


ブッブッとバイブ音が聞こえて、原口係長が携帯を開く。


サッと目を通して、視線をあたしに向ける。


「だから、もう少しで終わるって言ってるだろ」


……わかりました。 待ってますよ。


原口係長のせいで、余計に目立ってしまった。



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