泣き顔にサヨナラのキス


結局、辿り着いたのは、いつもの焼き鳥や。

カウンターに並んで座り、生ビールと枝豆、そして冷奴を注文する。


「お前のオーダー、おっさんみたいだな」


「こんな乙女を掴まえて、なんてことを」


「乙女?お前、日本語可笑しいぞ」


一度、コホンと咳払いをして、低い声で訊いてみる。


「話ってなんですか?」


「あぁ、話な……」


「まさか、無いとか言わないですよね?」


「んー」と言いながら、あたしから目を逸らす原口係長。


もしかして、またあたし騙された??


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