泣き顔にサヨナラのキス
黙り込むあたしに原口係長が話を続ける。
「営業経験者を事業部に欲しいと話があってさ。
お前が適任じゃないかと。これは伊藤課長も俺と同意見だけど」
「あたし、営業ダメですか?」
「いや、そうじゃなくて。でも、お前は営業より事業部の仕事の方が向いていると想うぞ」
そして、同じタイミングで焼酎の水割りを口にする。
「取り合えず、考えてみろよ」
「はい」
事業部が入っているのは、プレゼン会場だったビル。
少し遠くなるけど、通勤できない距離じゃない。