泣き顔にサヨナラのキス
    

とても、曖昧ではあるけれど。


きっと、そう。


「そこ、二番目に入ってる。俺の分も取って……」


グラスの水は、あたしだけじゃなく、原口係長も濡らしていて。


「シーツも替えますか?」


「いや、見事に俺とお前だけが濡れてる」


そう言って、力無く笑う。


無理して笑顔なんて作らなくてもいいのに。



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