泣き顔にサヨナラのキス
     

キスしたことを後悔しているんですね。


そう想うと、少し寂しい。


クローゼットから着替えを取り出して、原口係長に渡すと、何の躊躇いもなく脱ぎ始めた。

「ちょ、ちょっと。いきなり脱がないで下さい」


慌てて背中を向ける。


割れた腹筋と広い肩幅が、脳裏に焼き付いてしまって、なかなかドキドキが治まらない。


そんなあたしに原口係長は「悪い」と一言だけ。





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