泣き顔にサヨナラのキス
『まさか』
その言葉が頭の中をぐるぐると回る。孝太にとっては、『まさか』なんだね。
「あたしは、イヤだな」
「何が?」
「毎週末じゃなくても、休みの日は出来るだけ一緒に過ごしたいもの」
山本さんの言葉に、孝太は驚いたように目を見開いた。
「そうなんだ」
あたしは黙って、二人のやり取りを聞いていた。
孝太がチラリとあたしを見た気がしたけど、そのまま目を伏せて気がつかないフリをした。