泣き顔にサヨナラのキス


孝太が荒い息のまま、あたしの頬を優しく撫でる。


「ごめん。痛かった?」

「……大丈夫」

「本当に?」

「うん」


もう一度、唇が重なって、息も出来ないほどのキスをする。


あぁ、苦しい。 苦しいよ、孝太。


「帰るよ」

「うん」


孝太は身支度を整えると、何か言いたそうな顔であたしを見詰める。


「どうしたの?」

「いや。おやすみ、カナ」


そして、額に軽くキス。


……孝太のことは、好きだけど。


何故か、辛かった。





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