泣き顔にサヨナラのキス
ゴホゴホと咳をするくせに。
それでも、タバコに火を点けようとするから、手の中のライターを取り上げた。
「ダメですって。この際だから、タバコ止めたらどうですか?」
「ん、ああ……」
両手で顔を覆って、辛そうに項垂れる。
「横になって下さい。もう、帰りますから」
「……どうして、ここに来たんだよ?」
「えっ?だって、原口係長がメール……」
顔を上げて見詰められた瞳が、熱を放っているようで息苦しい。